医学生の解釈(ブログ)

学生が医学部に入って得た視点など。医者の世界をのぞいた非医療人のブログ。

法医学とは何か

法医学 という専門科目が医学部にはあります。

医療に関わる法律を学ぶのでしょうか?

結論から言えば違います。

今回はそんな法医学について学びます。

 

法医学では法律は学ばない

冒頭にも書きましたように、

法が付くからと言って医学に絡む法律の解釈を行うのではありません。

そのような分野としては「医事法制」なる分野があります。

法医学はあくまで「医学の一分野」

つまり、医学について学ぶことになります。

 

法医学とは、

一般の人たちがたまたま遭遇する医学上の判断が必要な法律上の案件に関し、適切なアドバイスを行う、もしくはそれに関する学問

と定義されます。

 具体的な話で言えば、

医療訴訟・医療事故の裁判等の場で、

法律家より医者、客観的意見が求められる時用の学問

と言い換えることができます。

事件ドラマなどで、死因等を調べるのが

法医学とも言えます。

 

法医学の5つの柱

法医学には5つの柱があると言われています。

具体的には以下の通りです。

  1. 法病理学 (法医解剖など)
  2. 法医放射線学 (死後画像診断など)
  3. 法医中毒学 (薬毒物分析など)
  4. 法医遺伝学 (DNA多型など)
  5. 賠償科学

 この中で一番イメージにわきやすいのが、

「法医解剖」かと思います。

犯罪死体にたいして色々と調べるのは法医解剖です。

では、その法医解剖についてもう少し学んでみましょう。

法医解剖について

法医解剖の分類

法医解剖には4つの分類があります。

  1. 司法解剖 犯罪死体あるいわその疑いのある死体 
  2. 承諾解剖 (警察の判断により)犯罪性はないが死因は不明
  3. 行政解剖 (警察の判断により)犯罪性はないが死因は不明
  4. 新法解剖 (警察の判断により)犯罪性はないが死因は不明

以上に分かれます。

主に日本では司法解剖が行われます。

(それ以外が少ない理由については後述

 「司法解剖の制度と法医学」をご覧ください。)

ただ、解剖というわけですから、

誰でも簡単にできるわけではありません。

医者でも、容易に死体を気づつけることはできません。

ここの制度について学んでいきましょう。

 

日本における法医解剖の制度について

原則

まず、原則として解剖は許可と承諾が必要です。

死体解剖保存法

という法律で定められています。

許可:その地域の保健所長

承諾:遺族

これらの人の承諾と許可が必要です。

ただ、ここには例外も多くあります。

  • 保健所長不在の時は?
  • 身元不明の時は?
  • (家庭内の事件で)遺族が被疑者の時は?

これらの場合、承諾と許可が得られず、

必要な法医解剖が行われないことにもなり大変です。

 

承諾だけでよい場合

大学の解剖学、病理学、法医学の教授が解剖する場合

大学で助教以下の医師または医師以外で司法解剖用の資格をもつもの

これらの人間が行う時などは、司法解剖には、

遺族の方の承諾のみが必要です。

承諾がいらない場合

遺族による承諾も要らない場合があります。

  • 刑事訴訟法に基づき解剖する場合(裁判所=裁判官の許可の下、裁判官の決めた人が解剖する。ただ、学識経験者でなくてはならない)
  • 警察が取り扱う死体(死因究明のため 犯罪性のない場合は警察署長の許可・ただ、解剖はただの医師が行ってよいが、大抵は法医学者が許可される)
  • 監察医が子音の判明しない死体について解剖する場合

以上の場合では、遺族の承諾はいりません。

監察医については、ドラマとして、

  • 法医学教室の事件ファイル
  • ラスト・ドクター
  • ゼロの真実

等有名なものがあります。

 

ただ、監察医は、

東京23区・大阪市・神戸市 にしかいません。

ドラマだとよくいるようにみられますが、

そこまで人数は多くないようです。

 日本は法医解剖が少ない

日本の法医学は甘い?

日本は変死への解剖率が低いといわれています。

日本10%ほど

外国(アメリカやイギリス)50%ほど

といわれています。

「日本は法医学に対して甘すぎる」

なんて記事まで世に出たりしています。

ただ、ここには事情があるのです。

司法解剖の制度と法医学

欧米諸国は専門家による死因究明することは制度化されています。

英国ではコロナー制度と言い、

法律家で解剖できる人がいます。

解剖ができる法律家ということです。

米国でも監察医の制度が整っています。

 

一方、日本ではまず、警察が変死を回収します。

その後、警察が、犯罪かどうかを判断して、

犯罪に関わる物だけが解剖されます。

 

 警察は事件性のあるものばかり調べたがります。

そのため、司法解剖の割合が低くなってしまうのです。

このため、法医学者の需要は少なかったりもします。

 

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