医学生の解釈(ブログ)

学生が医学部に入って得た視点など。医者の世界をのぞいた非医療人のブログ。

医の倫理学6~医療資源の配分・トリアージ

  • 「医者のいうことを無視してきて、大病となったもののために、国がお金を払ってやらなアカンのか?」
  • 「タバコしてきた人とタバコしてこなかった人を、同等に扱うのはおかしいんやないか?」

今回は「医療資源の分配」ということを学習していきます。

 

医療資源の分配の限界

医療資源は平等に分配されてはいるが・・・

こちらの記事では

「診療報酬制度で皆に等しく

 医療サービスを提供できるんだ!」

と書きました。

ただ、必ずしもすべての人に、常に

保険制度を導入できるわけではありません。

  • 緊急時(大勢の人が病院に来たとき・大規模の事故など)
  • 医療費がかさみすぎる時

このような時、医療は、

「優先順位」をつけることが必要となります。

医療資源が分配できない時

例えば、「緊急時(大勢の人が病院に来たとき・大規模の事故など)」

目の前に「もう助からないであろうご老人」と「今からすぐに治療すれば助かるであろう赤子」が同時に病院に運ばれてきたとき......

後者を助けることが、医療の役割になりそうです。

「もう助からないであろうご老人」を助けようとすることが悪いとは言いません。ただ、それでみすみす二人の命を失うよりも、後者を助けようとするのが、医療の果たせる役割ではないのかという話です。

 

ただ、これは非常に厳しい話です。

「もう助からないであろうご老人」と「今からすぐに治療すれば助かるであろう赤子」が同時に運ばれてくるのではなく、「もう助からないであろうご老人」が先に運ばれてきた場合はどうすればよいでしょう?

目の前に、「もう助からないであろうご老人」の家族が医療従事者全員に土下座して、「もう助からないであろうご老人」を助けてくださいと言われたら.....

難しい。

 

医療資源の配分の倫理的な基準

このように医療資源の配分に

支障が出たときの基準が2つあります。

  • 利益の最大化
  • 公平性(公正)

以上2つです。

利益の最大化

「より多くの人がより少ないコストで

 助けられるのが良い」とする考え方です。

効率の追求、無駄な医療の削減につながります。

  • ただ、何を利益と見るか?
  • 誰がその価値を評価するのか?
  • 評価は正しいとは言い切れるのか?

と課題も残ります。

公平性(公正)

「たとえ全体の利益が最大化されても、

 その利益を受けるのが一部の人に限定されるのは

 よくない」とする考え方です。

「道徳の授業」的には、こちらをとりたくなります。

格差を是正し、差別を回避することに繋がります。

かといって、「公平性」を求めるあまり、

助けられる人も助けられないようなことになっては、

悪平等とも言えます。

 

現実・トリアージ

患者の重症度に基づいて、

治療の優先度を決定して選別を行うトリアージ

日本でも有名になってきています。

具体的には以下の順に治療を優先されます。

  1. 最優先治療群(赤色):生命を救うため、ただちに処置を必要とする患者
  2. 非緊急治療群(黄色):多少治療が遅れても、生命に危険がない者
  3. 軽処置群(緑色):ほとんど専門医の治療を必要としない者
  4. 不処置群(黒色):既に死亡しているもの。または救命が不可能なもの

重症度で言えば

黒色>赤色>黄色>緑色です。

赤色の人は、最優先に医療を受けられますが、

黒色になってしまえば、一気に治療優先度が下がります。

医療の提供が遅れるあまり、

赤色→黒色と色を変えられる可能性は大いにあります。

それを目の前でされたら......

一気に絶望になります。

ただ、「このルールに従う」と

あらかじめ決めておけば、

ある程度の公平性を保って、

利益を最大化することができます。

(ただ、ここの判断は難しそう)

 

まとめると

医療資源の配分は難しいです。

問題が出てくる都度、

  • 利益の最大化
  • 公平性(公正)

の両観点から考えるべきでしょう。

何が正解と言い切れることも少ないでしょう。

大変なことですが、考えなければなりません。

 

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