医学生の解釈(ブログ)

学生が医学部に入って得た視点など。医者の世界をのぞいた非医療人のブログ。

実験を行う上で「正しいコントロール」とは~学部生でも論文書く

今回は「実験のコントロール」について学びます。

 

コントロールとは何か

あなたが中学生の時に、逆立ちを毎日していました。あなたはこの時期、背がグングン伸びました。さて、「逆立ちをすると、背が伸びる」と言えるでしょうか?当たり前ですが、言えません。あなたが逆立ちをしなくても、(成長期だから)背が伸びたのかもしれません。「逆立ちをすれば背が伸びる」と言うためには、「逆立ちしないと、背が伸びない」ことを示してあげなければなりません。これが「比較対照」であり、「コントロール」の考え方となります。

コントロールの条件

では、そのコントロールの条件とはなんでしょう?具体的には

  • 人為的に操作可能な要因
  • 比較するコントロールは操作する要因以外はすべて同じ

この二つの条件があります。

人為的に操作可能な要因

例えば、「逆立ちを毎日すれば背が伸びるか」調べることは可能です。「逆立ちを毎日する」行為は人為的に操作可能な要因だからです。

つまり、実験によって、「逆立ちを毎日する」ヒトと、逆に、「逆立ちを毎日しない」ヒトの二つのグループを、人為的に作ることができます。「人為的に操作可能である傭員」だからこそ、実験を進めることができるのです。

比較するコントロールは操作する要因以外はすべて同じ

この条件は難しいです。Aさんが毎日逆立ちをしたら、Aさんは「毎日逆立ちをしない」という選択はできません。そのため、完全な比較はできません。完全な比較をしようと思ったら、「毎日逆立ちをするAさん」と「毎日逆立ちをしないAさんのクローン」を比べなければならないのです。ヒトを使った実験ではこれは無理です。(理科の実験なら可能)

条件を緩くしなければ、実験は進められません。そこで、コントロールの条件を緩くしましょう。

⇒「比較するコントロールは操作する要因以外はほぼ同じ(似ている)」

では、ほぼ同じ、似ているとは何をもって似ているとするのかが問題となります。我々から見たらAさんとBさんは似ていても、ある遺伝子的には全く違うかもしれません。我々が「似ている」と判断するには、年齢・利き手・性別・身長・体重などの情報しか「似ている」と判断できないのです。

「似ている人を集めたグループ」を作るのは意外と難しかったりします。

グループの作り方~ランダムに分ける

グループを作るのは難しいという事ですが、やり方としては「ランダムに分ける」ということがあります。

ランダムに分けるという事はつまり、偶然に基づいて分けているということです。確率的に単純に分けているという事です。

逆に言えば、様々な特徴で、二つのグループが似ているという事はないです。例えば、ランダムにグループ分けしたときに、あるグループともう一つのグループが、身長の観点で似ているとは言えません。ただ、グループの人数が多い場合は、平均的には二つのグループは同じになると考えられます。

ランダムにグループを分けると、「測定できない特徴」についても平均的に同一になっているに違いないと推測することができます。

 

コントロールの種類

ランダム化コントロール以外にもコントロールの種類があります。

レベルが上がるほど、コントロールとしては弱いです。

  • レベル0:理想のコントロール・・・ほぼ不可能です。比較するコントロールは操作する要因以外はすべて同じという条件を満たします。例えば、双子の子供がいれば、理想のコントロールは作りえます。
  • レベル1:ランダム化コントロール・・・参加者をランダムに二つに分けて一方はある行為をして、もう一方はある行為をしない。
  • レベル2:同時コントロール・・・ランダム化していない。前向きコホート研究がこれにあたる。
  • レベル3:既存コントロール・・・既にあるデータを用いている。過去の記録からコントロールを準備する。「昔はこの薬を飲まないと、病気の致死率は100%だった。」過去に記録されていた記録しか条件が同じであるとは言えない。例)紀元前に致死率100%今、この薬のおかげで致死率0%本当に薬のおかげ?⇒衛生状態は違うからそんなこと言えない。
  • レベル4:暗黙のコントロール・・・臨床研究ではこの程度のものが多い。ほぼコントロールがないに等しいもの

このようにいろいろなコントロールがあることは知っておき、「この実験のコントロールはどのレベルか?」を意識するようにしましょう。

 

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